「最近、忙しいな」
そう感じながら、何ヶ月も過ごしていました。
でも、それが「普通の忙しさ」なのか「多すぎる」のかは、わかりませんでした。
運用保守の仕事は、割り込みが多い。障害対応、問い合わせ、メンバーからの相談。気づくと一日が終わっていて、予定していた作業が進んでいない。
この状態が続いているのは、自分の段取りが悪いからだと思っていました。
正直に書きます。最近、体に不調が出ました。
詳しくは書きませんが、「これはさすがにおかしい」と感じる出来事があって、初めて自分の業務量を数えてみる気になりました。
結果、**枠の約150%**でした。
1人分の枠に、1.5人分近くの仕事が乗っていた。感覚ではなく、数字で出てきました。
今回は、そのときにやった整理方法を書きます。同じように「忙しいけれど、これが普通なのかわからない」という人の役に立てばと思います。
なぜ、感覚ではわからないのか
先に、なぜ数えないと見えないのかを整理します。
1. 割り込み作業が記録に残らない
「今日は何をしたか」を振り返ると、会議と作業は思い出せます。でも、合間に対応した問い合わせや相談は、記憶から抜け落ちます。
実際に数えてみると、ここが一番大きかった。
2. 自分のタスクだけを見ている
リーダーの仕事には、自分で手を動かす作業以外に、承認、レビュー、相談対応、判断があります。
これらは「作業」として認識されにくいので、タスクリストに入っていません。
3. 「できている」ことが基準になる
なんとか回っていると、「回っているのだから問題ない」と思ってしまいます。
でも、残業や休日対応で埋めているなら、それは回っているのではなく、枠を超えているだけです。
整理の手順
実際にやった手順を書きます。所要時間は、だいたい1〜2時間です。
ステップ①:とにかく全部書き出す
きれいに整理しようとしないこと。走り書きで構いません。
書き出す対象は、この5つです。
- 自分で手を動かす作業
- メンバーからの相談・承認・レビュー
- 会議
- 顧客対応
- 引き受けたけれど、まだ手をつけていないもの
最後の「手をつけていないもの」を忘れないこと。 これが積み上がっていると、見えないプレッシャーになります。
ステップ②:4つの情報を付ける
書き出したタスクそれぞれに、次の4項目を付けます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 週あたりの所要時間 | だいたいで構わない |
| 期限 | 今月中、再来週、期限なし など |
| 代わりにできる人 | 自分だけ、またはメンバー名 |
| 重さ | 判断が重い、定型作業、待ち案件 など |
この4つが揃うと、後で判断材料になります。
- 時間 → 量の問題か
- 期限 → 集中している時期はないか
- 代替可能性 → 自分しかできない仕事がどれだけあるか
- 重さ → 時間は短くても消耗が大きいものはないか
特に「重さ」が重要です。30分の相談でも、判断が重いものは1時間の定型作業より消耗します。
ステップ③:合計を出して、実働時間と比べる
月あたりの実働を20人日として、合計がどうなるかを見ます。
私の場合、29.5人日でした。枠の約150%です。
ここで初めて、「忙しい」が数字になりました。
数えてわかったこと
数字にすると、思っていたのと違う部分が見えました。
①会議が全体の3割だった
一番多かったのが、会議でした。合計で全体の3割強。
特に、毎日の朝会が大きかった。1回は短くても、積み上がると枠の4分の1になっていました。
「短い会議だから」と気にしていなかったものが、実は最大の負荷でした。
②問い合わせと相談で、さらに4割
問い合わせ対応と案件相談を合わせると、全体の約4割。
これらは割り込みで入ってくるので、まとまった作業時間が取れません。しかも判断を伴うので、頭を使います。
会議と合わせると、**約7割が「自分で手を動かす作業以外」**でした。
③引継ぎが不十分な案件は、数字以上に重い
前任者からの引継ぎがほとんどなかった案件があります。
表の上では他と同じ時間ですが、調べながら進めるので、実際の消耗は大きい。
「重さ」の項目を付けておいたおかげで、ここが見えました。
削減できるものを探す
数字が出たら、次は減らせるものを探します。
私の場合、こういう候補が出ました。
| 候補 | 効果 |
|---|---|
| 朝会への出席を副リーダーに委任 | 約2〜3人日 |
| 問い合わせの一次受けをメンバーに移し、判断が必要なものだけ上げる | 約3〜4人日 |
| 簡易な提案・見積の一部をテンプレ化、または移管 | 約1人日 |
ただし、全部実行しても枠には収まりませんでした。
22人日前後。まだ20を超えています。
つまり、自分の工夫では埋めきれない。 ここが重要な発見でした。
「自分の工夫では無理」とわかることに意味がある
数えるまでは、「もっと効率よくやれば回るはず」と思っていました。
でも、数字を出して、削減案を全部足しても足りないとわかったとき、これは自分の段取りの問題ではないと確認できました。
これは、気持ちの面でも大きかったです。
「できていない自分が悪い」から「構造的に無理がある」に、認識が変わりました。
そして、そうなって初めて、上長に相談する材料ができました。
相談するときに用意したもの
感覚で「忙しいです」と言っても、相手は判断できません。
数字があると、話が具体的になります。用意したのは次の4点です。
1. 現状の合計
枠に対して何パーセントか。これが出発点です。
2. 内訳
何に時間を使っているか。会議が3割、問い合わせと相談で4割、という形です。
3. 削減案と、その効果
自分でやれることは先に示します。「何も工夫していない」と思われないためでもあります。
4. それでも足りない分
削減案を全部実行しても超過する分。ここが、相談したい本題です。
目標値を確認しておく
もう一つ、大事なことがあります。
枠の100%を目標にしないこと。
運用保守は、突発対応が必ず入ります。障害、緊急の問い合わせ、トラブル。これらは予定に書けません。
私の上長からは、以前こう言われていました。
「突発対応があるので、8〜9割くらいの工数で問題ない」
つまり、20人日の枠なら16〜18人日が目標。
この基準で見ると、超過はさらに大きくなります。でも、これが現実的な数字です。
100%で予定を埋めていたら、突発対応が入った時点で破綻します。 休暇も通院も取れません。
やってみて思うこと
正直に言うと、もっと早くやればよかったと思っています。
体に不調が出るまで、数えようと思わなかった。「忙しいのは当たり前」と考えていたからです。
でも、数えるのに1〜2時間しかかかりません。
そして数えた結果、「実は普通の範囲だった」とわかるなら、それはそれで安心できます。感覚で不安を抱えているより、ずっといい。
まとめ
自分の工数を数える方法をまとめます。
なぜ感覚ではわからないか
- 割り込み作業が記録に残らない
- 自分のタスクだけを見ている
- 「できている」ことが基準になる
整理の手順
- とにかく全部書き出す(走り書きでいい)
- 4つの情報を付ける(時間・期限・代替可能性・重さ)
- 合計を出して、実働時間と比べる
数えてわかること
- 何に時間を使っているかの内訳
- 自分の工夫で減らせる分と、減らせない分
- 「自分の段取りの問題ではない」という確認
相談するときに用意するもの
- 現状の合計(枠に対する比率)
- 内訳
- 削減案と効果
- それでも足りない分
目標値について
枠の100%ではなく、8〜9割を目標にする。突発対応の余地が必要
「忙しい」は、感覚では伝わりません。
数字にすると、自分も納得できるし、相手にも伝わります。
もし今、量が多すぎる気がしているけれど確信が持てないなら——1〜2時間、数えてみてください。
結果がどちらでも、わかること自体に意味があります。


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