運用保守の現場で、長年の課題があります。
ドキュメントの整備です。
「手順書を整備しなきゃ」「あの作業、ドキュメント化されていないな」——わかってはいるけど、日々の業務に追われて後回しになる。気づけば、ドキュメントが不足したまま、属人化が進んでいく。
多くの現場が、この課題を抱えていると思います。私のチームもそうでした。
でも、生成AIを使うようになって、この状況が変わりました。ドキュメント整備のハードルが下がり、結果として引き継ぎが楽になったんです。
今回は、生成AIで運用ドキュメントを整備した、私の実践記録を紹介します。
なぜドキュメント整備は進まないのか
まず、なぜドキュメント整備が進まないのかを整理します。
1. 時間がかかる
ドキュメントをゼロから書くのは、時間がかかります。構成を考えて、文章を書いて、体裁を整えて……。この手間が、後回しの原因になります。
2. 面倒くさい
正直、ドキュメント作成は地味で面倒な作業です。「今やらなくても困らない」という気持ちが、先延ばしを招きます。
3. 何を書けばいいか迷う
「どこまで詳しく書けばいいか」「どういう構成にすればいいか」で迷い、手が止まる。
生成AIは、この3つの障害を、大きく下げてくれます。
実践①:頭の中の知識を、AIで文書化する
運用保守の知識の多くは、ベテランの「頭の中」にあります。これを文書化するのが、ドキュメント整備の第一歩です。
私がやったのは、頭の中にある作業手順を、AIに話すように書き出して、整形してもらうことです。
たとえば、こんな感じです。
以下の作業手順を、わかりやすい手順書の形式に整理してください。
【作業内容】
Aシステムの月次バックアップ。まずサーバーにログインして、
バックアップスクリプトを実行する。完了したら、バックアップ
ファイルが指定の場所にできているか確認。サイズが前月と
大きく違わないかもチェック。最後に、バックアップ管理表に
実施日時を記録する。
これをAIに渡すと、箇条書きで整理された、読みやすい手順書のたたき台ができあがります。
「ちゃんとした文章を書かなきゃ」というプレッシャーがなくなり、思いついたことを話すように書き出すだけでよくなった。これが、ドキュメント整備のハードルを大きく下げました。
実践②:既存の断片的なメモを、AIで整える
現場には、断片的なメモが散らばっていることがあります。「とりあえず書いておいた」レベルのメモです。
これらを、AIで整えます。
「以下のバラバラなメモを、整理された手順書にまとめてください。 不足していそうな情報があれば、指摘してください」
AIは、断片的なメモを構造化してくれるだけでなく、「この手順書には、こういう情報が不足しているのでは」と指摘してくれることもあります。これが、抜け漏れのチェックにもなります。
散らかっていたメモが、AIを通すことで、ちゃんとしたドキュメントに生まれ変わる。ゼロから作るより、はるかに楽です。
実践③:ドキュメントの「わかりやすさ」をAIでチェック
作ったドキュメントが「わかりやすいか」を、AIにチェックしてもらうこともできます。
「以下の手順書を、この作業を初めてやる人の視点でレビューしてください。 わかりにくい点や、補足が必要な点を指摘してください」
自分で書いたドキュメントは、自分にはわかりやすく感じます。でも、初めて読む人にはわかりにくいことがある。この「読み手目線のチェック」を、AIが手伝ってくれます。
指摘を受けて修正することで、「使われるドキュメント」に近づけられます。
結果:引き継ぎが楽になった
これらの取り組みを続けた結果、私のチームでは、ドキュメントが着実に充実していきました。
そして、その効果が一番現れたのが、引き継ぎです。
新メンバーの立ち上がりが早くなった
ドキュメントが整備されていると、新しいメンバーが入ったとき、そのドキュメントを読んでもらうだけで、基本的な作業を理解できます。「ベテランにつきっきりで教える」時間が減りました。
「属人化」が解消された
「この作業はあの人しかわからない」という状態が、ドキュメント整備で解消されていきました。誰でもドキュメントを見れば作業できる。これは、引き継ぎのリスクを大きく減らします。
引き継ぎの抜け漏れが減った
口頭の引き継ぎは、抜け漏れが起きがちです。でも、ドキュメントがあれば、「伝え忘れ」を防げます。引き継ぎの質が上がりました。
ドキュメント整備は、地味だけど、引き継ぎや属人化解消に直結する重要な取り組みです。生成AIは、その取り組みのハードルを大きく下げてくれました。
生成AIを使う上での注意点
便利なAI活用ですが、運用ドキュメントの整備で使う際の注意点もあります。
1. 機密情報を入力しない
ドキュメントには、システム固有の情報や、顧客情報が含まれることがあります。これらをそのままAIに入力しないよう注意します。一般化・マスクしてから使いましょう。
2. 内容は必ず自分で確認する
AIが整形したドキュメントは、必ず自分で確認します。AIが誤解して、間違った手順を書いていることもあります。特に手順書は、間違いが事故につながるので、最終チェックは念入りに。
3. AIはあくまで「整形・補助」の道具
AIは、頭の中の知識を整形したり、抜け漏れをチェックしたりする補助の道具です。「何を書くか」という中身は、経験を持つ自分が決める。この主従関係を忘れずに使いましょう。
まとめ
生成AIで運用ドキュメントを整備したら、引き継ぎが楽になった話をまとめます。
AIでドキュメント整備のハードルが下がる
- 頭の中の知識を、話すように書き出してAIで文書化
- 断片的なメモを、AIで整える
- ドキュメントのわかりやすさを、AIでチェック
結果、引き継ぎが楽になる
- 新メンバーの立ち上がりが早くなる
- 属人化が解消される
- 引き継ぎの抜け漏れが減る
注意点
- 機密情報を入力しない
- 内容は必ず自分で確認
- AIは整形・補助の道具
ドキュメント整備は、後回しにされがちな課題です。でも、生成AIを使えば、そのハードルは大きく下がります。
「ドキュメントを整備したいけど、時間がない」という方は、まず頭の中の作業手順を、AIに話すように書き出すことから始めてみてください。驚くほど楽に、ドキュメントが作れます。


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