「どうすればいいですか?」
チームリーダーをやっていると、この言葉をよく聞きます。
問題の背景も、自分なりの考えも、試したことも——何も添えずに「どうすればいいですか?」だけがやってくる。いわゆる「丸投げ相談」です。
最初のころは、すぐに答えを出していました。「こうすればいい」「ああすればいい」と。
でも、それを続けていると気づいたことがあります。
答えを出し続けると、部下が自分で考えなくなる。
そして私自身も、50社の管理業務の合間に「答え出し機械」になっていくことへの消耗感がありました。
今回は、丸投げ相談が来たときに私が必ず聞き返す一言と、その背景にある考え方を話します。
私が必ず聞き返す一言
それはシンプルです。
「自分はどうしたいと思ってる?」
これだけです。
「どうすればいいですか?」と聞いてきた部下に、「自分はどうしたいと思ってる?」と聞き返す。
なぜこの一言なのか
この質問には、いくつかの意味が込められています。
1. 「考えてから来る」習慣をつけてもらうため
丸投げ相談をする人の多くは、「考える前に聞きに来る」習慣がついています。
「どうすればいいですか?」と聞く前に、「自分はどう思うか」を考える習慣がない。
「自分はどうしたいと思ってる?」と聞き返すことで、「ああ、考えてから来ないといけないんだ」という気づきを促すことができます。
2. 相手の思考を引き出すため
実は、丸投げに見えても、本人の中にすでに「こうしたい」という考えが芽生えていることが多いです。
ただ、自信がなくて言い出せない。上司に否定されるのが怖い。だから「どうすればいいですか?」という形で確認を求めてくる。
「自分はどうしたいと思ってる?」と聞くことで、その隠れた考えを引き出せます。
3. 自分の頭で答えを出す経験を積んでもらうため
人は、自分で考えて出した答えの方が、納得感が高く、実行力も上がります。
上司に言われた通りにやるよりも、自分で考えてやった方が、うまくいかなかったときも「なぜうまくいかなかったか」を自分ごとで考えられる。
この経験の積み重ねが、部下の成長につながります。
実際のやり取りのイメージ
こんな感じです。
部下:「Aシステムの監視アラートが頻発していて、どうすればいいですか?」
私:「自分はどうしたいと思ってる?」
部下:「……しきい値を見直した方がいいかなとは思ってるんですが、勝手に変えていいかわからなくて」
私:「しきい値を見直すのはいい方向性だと思う。どの値に変えたいか、理由と一緒に整理してきてくれたら一緒に確認しよう」
最初から「しきい値を見直せばいい」と答えを出すことはできます。でもそうすると、部下は「確認した、OKもらった、やった」で終わる。
「自分で考えた」という経験がない。
「自分はどうしたいと思ってる?」の一言を挟むだけで、部下が自分の考えを言語化する経験を積めます。
ただし、使い方に注意が必要な場面もある
この質問が逆効果になる場面もあります。
緊急の障害対応中
「本番環境が落ちています、どうすればいいですか?」という場面で「自分はどうしたいと思ってる?」と聞き返すのは、状況をわかっていない対応です。
緊急時は迷わず指示を出す。「自分はどうしたいと思ってる?」は、落ち着いた状況での相談に使う質問です。
経験が浅すぎて、そもそも考えの土台がない場合
入社直後や、まったく経験のない領域の相談には、まず知識や経験を与えることが先です。
何も知らない状態で「どうしたいと思ってる?」と聞いても、答えが出てきません。段階を踏んで、ある程度の経験を積んだ後に使う質問です。
まとめ
丸投げ相談が来たとき、私が必ず聞き返す一言は——
「自分はどうしたいと思ってる?」
この一言の目的は3つです。
- 「考えてから来る」習慣をつけてもらう
- 相手の中にある考えを引き出す
- 自分の頭で答えを出す経験を積んでもらう
すぐに答えを出してあげることが、必ずしも部下のためになるわけではありません。
「答えを教える」より「考え方を育てる」——チームリーダーとして、ずっと意識していることです。

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