「またアラートか……」
監視アラートが鳴り止まない現場を、経験したことはありませんか。
ひっきりなしに鳴るアラート。でも、その大半は「対応不要」のもの。本当に重要なアラートが、大量のノイズに埋もれてしまう——。
これは、運用保守の現場でよくある問題です。私も、アラートが鳴り止まない現場を引き継いで、頭を抱えたことがあります。
今回は、監視アラートが鳴り止まない現場を、どう改善したかを具体的に書きます。
アラートが鳴り止まない現場の何が問題か
「アラートがたくさん鳴る」こと自体が問題なのではありません。本当の問題は、その先にあります。
問題①:重要なアラートが埋もれる
大量のアラートの中に、本当に対応すべき重要なアラートが埋もれてしまう。「オオカミ少年」状態になり、いざ本物の障害が起きても気づくのが遅れます。
問題②:対応する人が疲弊する
鳴り止まないアラートに対応し続けると、担当者が消耗します。「どうせまた大したことない」という慣れも生まれ、対応の質が落ちます。
問題③:「アラート慣れ」で見逃しが起きる
アラートが多すぎると、人は次第に無視するようになります。その結果、重要なアラートを見逃すリスクが高まります。
つまり、アラートの鳴りすぎは「監視として機能していない」状態なんです。
改善ステップ①:アラートを「棚卸し」する
最初にやったのは、今どんなアラートが鳴っているかの棚卸しです。
一定期間のアラートをすべて洗い出して、分類しました。
- 本当に対応が必要なアラート
- 対応不要だが記録は必要なアラート
- まったく不要な(ノイズの)アラート
これをやると、驚くほど多くのアラートが「対応不要」だとわかります。私が引き継いだ現場では、アラートの8割以上が「実質的に対応不要」でした。
まず現状を可視化しないと、改善のしようがありません。棚卸しが改善の第一歩です。
改善ステップ②:不要なアラートを「止める」
棚卸しで「不要」と判明したアラートは、思い切って止めます。
「念のため残しておこう」という気持ちが、アラートを増やす原因です。本当に不要なものは、勇気を持って止める。
ただし、いきなり完全に止めるのが不安な場合は、段階的に進めます。
- まずは通知レベルを下げる(メール通知を止めて、ログ記録のみにするなど)
- 一定期間様子を見て、問題なければ完全に止める
「鳴らさない」のではなく「記録は残すが、人を起こさない」というレベル分けが有効です。
改善ステップ③:しきい値を見直す
「対応が必要」とされているアラートでも、しきい値が適切でないケースがあります。
たとえば「CPU使用率80%でアラート」と設定されていても、そのシステムでは一時的に80%を超えるのが正常な場合があります。これだと、正常な状態でもアラートが鳴り続けます。
そこで、実際の運用状況に合わせてしきい値を見直す。
- 一時的に超えるのは正常なら、しきい値を上げる
- 「90%が5分以上継続したらアラート」のように、継続時間の条件を加える
しきい値を適切に設定するだけで、無駄なアラートが大きく減ります。
改善ステップ④:アラートに「対応手順」を紐づける
アラートを減らすと同時に、残したアラートには対応手順を紐づけます。
「このアラートが鳴ったら、何を確認して、どう対応するか」を明確にしておく。
これをやると、こんなメリットがあります。
- 誰でも対応できるようになる(属人化の解消)
- 対応に迷う時間がなくなる
- 経験の浅いメンバーでも、落ち着いて対応できる
アラートと対応手順がセットになっていると、「鳴ったけど、どうすればいいかわからない」という状況がなくなります。
改善ステップ⑤:定期的に見直す仕組みを作る
アラートの改善は、一度やって終わりではありません。
システムは変化します。新しいサーバーが増えたり、構成が変わったり。それに伴って、アラートの設定も見直す必要があります。
私のチームでは、定期的にアラートを見直す仕組みを作りました。
- 月次で「鳴ったアラートの振り返り」をする
- 「対応不要だったアラート」が多ければ、設定を見直す
- 新しいシステムが入ったら、アラート設定もセットで整備する
この「継続的な見直し」があるから、アラートが再び増えていくのを防げます。
改善して得られた効果
これらの改善を進めた結果、現場は大きく変わりました。
- アラートの数が、体感で7割以上減った
- 重要なアラートが埋もれなくなった
- 担当者の負担が減り、対応の質が上がった
- 「アラート慣れ」による見逃しがなくなった
何より、「アラートが鳴ったら、本当に対応が必要」という状態になったことが大きい。監視が、本来の役割を果たすようになりました。
まとめ
監視アラートが鳴り止まない現場を、どう改善したかをまとめます。
- アラートを「棚卸し」する → 現状を可視化する
- 不要なアラートを「止める」 → 段階的に減らす
- しきい値を見直す → 実運用に合わせる
- アラートに「対応手順」を紐づける → 誰でも対応できるように
- 定期的に見直す仕組みを作る → 再び増えるのを防ぐ
アラートの鳴りすぎは、「監視が機能していない」サインです。
「とりあえず鳴らしておく」をやめて、「本当に必要なアラートだけが鳴る」状態を作る。それが、監視を本来の役割に戻す改善です。
アラートに悩まされている現場があれば、まず「棚卸し」から始めてみてください。


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