「あれ、この作業って誰の担当だっけ?」
運用保守の現場で、こんな場面に出くわしたことはありませんか。
作業が宙に浮いて、誰もやっていなかった。逆に、2人が同じ作業を別々にやっていた。「相手がやってくれていると思っていた」というすれ違いで、トラブルになった——。
役割分担が曖昧だと、こういう問題が頻発します。
私は50社・20名のチームを管理する中で、役割分担の重要さを痛感してきました。今回は、「この作業、誰がやるの?」を防ぐ役割分担のコツを紹介します。
なぜ役割分担が曖昧になるのか
そもそも、なぜ役割分担が曖昧になってしまうのでしょうか。
運用保守の現場でよくある原因は3つあります。
1. 「なんとなく」で作業が回っている
明確に決めなくても、これまで誰かがやってきた作業。「いつも誰かがやってくれている」状態だと、その人が抜けた瞬間に「誰がやるの?」が発生します。
2. 担当の境界が曖昧
「サーバー担当」「ネットワーク担当」と分けていても、その境界にある作業(例:サーバーとネットワークの両方に関わる設定)は、誰の担当か曖昧になりがちです。
3. イレギュラー作業の担当が決まっていない
定常作業の担当は決まっていても、突発的に発生する作業(臨時の調査依頼、新規の問い合わせ対応など)の担当が決まっていないケース。
これらを放置すると、「作業の抜け漏れ」「重複作業」「責任の押し付け合い」が起きます。
コツ①:作業を「見える化」する
役割分担の第一歩は、「どんな作業があるか」を全部洗い出すことです。
頭の中だけで管理していると、「誰がやるか」を決めようがありません。まず、チームで発生する作業をすべてリストアップします。
- 日次作業(監視確認、バックアップ確認など)
- 週次・月次作業(定例報告、パッチ適用など)
- 年次作業(証明書更新、ライセンス更新など)
- イレギュラー作業(臨時調査、新規問い合わせなど)
作業を見える化すると、「担当が決まっていない作業」「一人に偏っている作業」が浮かび上がってきます。
コツ②:「担当者」と「バックアップ」をセットで決める
作業ごとに担当を決めるとき、「主担当」と「バックアップ担当」をセットで決めるのがポイントです。
主担当だけ決めていると、その人が休んだり辞めたりしたときに、また「誰がやるの?」が発生します。
| 作業 | 主担当 | バックアップ |
|---|---|---|
| A社 監視確認 | 田中 | 佐藤 |
| B社 月次報告 | 鈴木 | 田中 |
| 証明書更新 | 佐藤 | 鈴木 |
このように主担当とバックアップをセットで決めておけば、誰かが抜けても作業が止まりません。これは引き継ぎ対策・属人化対策にもなります。
コツ③:「RACI」の考え方を使う
役割分担を明確にするフレームワークとして、RACIという考え方があります。
- R(Responsible):実行責任者(実際に作業する人)
- A(Accountable):説明責任者(最終的な責任を持つ人)
- C(Consulted):相談先(意見を求める相手)
- I(Informed):報告先(結果を知らせる相手)
特に重要なのが、RとAを区別することです。
「作業する人(R)」と「最終責任を持つ人(A)」が混同されると、「誰が最終判断するのか」が曖昧になります。
たとえば、メンバーが作業(R)を担当しても、最終責任(A)はリーダーが持つ。こう明確にしておくことで、「勝手に判断していいのか」「誰に確認すればいいのか」という迷いがなくなります。
全作業にRACIを適用するのは大変なので、重要な作業や責任の所在が曖昧になりやすい作業に絞って使うのがおすすめです。
コツ④:イレギュラー作業の「受け皿」を決めておく
定常作業の担当は決めやすいですが、問題は突発的に発生するイレギュラー作業です。
「臨時の調査依頼が来た」「新規の問い合わせが来た」——こういった作業を誰が拾うか決まっていないと、宙に浮いてしまいます。
対策として、「イレギュラー作業の一次受け担当」を決めておくことをおすすめします。
- 当番制にする(曜日ごと・週ごとに一次受け担当を回す)
- 一次受け担当が、内容を見て適切な担当に振り分ける
こうすることで、「誰も拾わない」状態を防げます。
コツ⑤:役割分担を「定期的に見直す」
一度決めた役割分担も、時間が経つと実態に合わなくなります。
- 新しい顧客が増えた
- メンバーが入れ替わった
- 作業内容が変わった
こういった変化があったときに役割分担を見直さないと、また「誰がやるの?」が発生します。
私のチームでは、月次のミーティングで役割分担の見直しをしています。「この作業、今も適切な人が担当している?」「負荷が偏っていない?」を定期的にチェックすることで、役割分担を最新の状態に保てます。
役割分担が明確だと、チームが強くなる
役割分担を明確にするメリットは、「作業の抜け漏れを防ぐ」だけではありません。
- メンバーが「自分の責任範囲」を理解できる
- 「誰に聞けばいいか」が明確になる
- 負荷の偏りが可視化される
- 新メンバーの立ち上がりが早くなる
役割分担は、チームを強くする土台です。曖昧なまま放置せず、意識的に設計することで、チーム全体のパフォーマンスが上がります。
まとめ
「この作業、誰がやるの?」を防ぐ役割分担のコツをまとめます。
- 作業を「見える化」する → まず全作業を洗い出す
- 「担当者」と「バックアップ」をセットで決める → 属人化を防ぐ
- 「RACI」の考え方を使う → 実行責任と最終責任を区別する
- イレギュラー作業の「受け皿」を決めておく → 当番制で宙に浮くのを防ぐ
- 役割分担を「定期的に見直す」 → 実態に合わせて更新する
役割分担の曖昧さは、トラブルの温床です。
「なんとなく」で回している作業がないか、一度チームで見直してみてください。


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