「運用保守から、設計・構築の上流工程に移りたい」
こういうキャリアの希望を持つ運用保守エンジニアは、少なくありません。
運用保守で経験を積む中で、「作られたものを守る」だけでなく、「自分でシステムを設計・構築したい」という気持ちが芽生えるのは、自然なことです。
でも、「運用保守から上流に移るのは難しいのでは」と感じている人も多い。
私は運用保守を長くやってきましたが、構築の経験もあります。その経験から、運用保守から上流工程に移るための道筋を、具体的に解説します。
そもそも「上流工程」とは
まず、用語を整理します。
システム開発・構築の工程は、大きく「上流」と「下流」に分けられます。
上流工程
- 要件定義(何を作るかを決める)
- 基本設計・詳細設計(どう作るかを設計する)
下流工程
- 構築・実装(実際に作る)
- テスト
- 運用・保守(作ったものを維持する)
運用保守は、この工程の中で「作った後」を担う部分です。上流工程に移るというのは、「作る前・作る段階」に関わるようになる、ということです。
運用保守の経験は、上流工程で武器になる
「運用保守しかやってこなかったから、上流は無理」と思っている人がいますが、それは違います。
運用保守の経験は、上流工程で大きな武器になります。
なぜなら、運用保守エンジニアは「作った後に何が起きるか」を知っているからです。
- どういう設計だと運用が楽か
- どういう構成だと障害が起きやすいか
- どういうドキュメントがあると保守しやすいか
これは、運用保守を経験していないと、なかなかわからないことです。
「運用しやすいシステムを設計できる」——これは、運用保守出身者ならではの強みです。設計・構築の現場では、「運用を知っている人」が重宝されます。
ステップ①:今の現場で「構築寄りの仕事」を取りに行く
上流工程に移る第一歩は、今の現場で、少しでも構築寄りの仕事に関わることです。
いきなり転職して設計・構築の仕事に就くのは、ハードルが高い。でも、運用保守の中にも、上流に近い仕事はあります。
- 既存システムの改善提案
- 小規模な構築・環境構築
- 新しいツールの導入設計
- インフラの移行プロジェクト
こういった「構築寄りの仕事」に、積極的に手を挙げる。運用保守をやりながら、少しずつ構築の経験を積んでいく。これが、無理のないステップです。
私自身、運用保守をやりながら、構築の案件に関わる機会を得て、経験を広げてきました。
ステップ②:設計・構築のスキルを学ぶ
上流工程に移るには、設計・構築のスキルを身につける必要があります。
学ぶべきこと
- インフラ設計の基礎:ネットワーク設計、サーバー構成、可用性設計など
- クラウドの構築スキル:AWS・Azureでの環境構築(今は特に需要が高い)
- IaC(Infrastructure as Code):Terraform、Ansibleなど、構築を自動化する技術
- 要件定義・設計書の書き方:上流工程で必要なドキュメント作成スキル
特に、クラウドの構築スキルは、今の時代に上流工程を目指すなら必須と言っていいでしょう。AWSやAzureで実際に環境を構築できると、上流工程への道が大きく開けます。
資格でいうと、AWS Solutions Architectなどの設計系資格が、スキルの証明になります。
ステップ③:構築の「実績」を作る
上流工程に移るには、「構築できます」という証明=実績が必要です。
実績の作り方
- 今の現場で構築案件に関わる(ステップ①)
- 個人で、クラウド環境を構築してみる
- 自宅で検証環境を作り、設計・構築を練習する
- 小さくてもいいので、「自分が設計・構築した」と言える経験を積む
「勉強しました」だけでなく、「実際に作りました」という実績があると、転職や社内異動のときのアピール力が格段に上がります。
ステップ④:社内異動 or 転職で上流に移る
スキルと実績が揃ったら、いよいよ上流工程のポジションに移ります。
社内異動という選択肢
今の会社に設計・構築の部署があるなら、社内異動を狙うのが一つの手です。運用保守で培った信頼と、新しく身につけたスキルをアピールして、異動を希望する。社内なら、これまでの信頼関係が活きます。
転職という選択肢
今の会社に上流工程のポジションがない、または挑戦できる環境がないなら、転職も選択肢です。「運用保守経験+構築スキル」をアピールすれば、上流工程のポジションに移れる可能性は十分あります。
転職を考えるなら、IT・インフラ領域に強い転職エージェントに相談するのがおすすめです。「運用保守から上流に移りたい」という希望を伝えると、それに合った求人を紹介してもらえます。自分の市場価値や、どういうスキルが求められているかも、客観的にわかります。
焦らず、段階的に進めるのが成功のコツ
最後に、大切なことを伝えます。
運用保守から上流工程への移行は、焦らず、段階的に進めるのが成功のコツです。
いきなり「明日から設計者になる」ことはできません。でも、今の現場で構築寄りの仕事に関わり、スキルを学び、実績を積んでいけば、着実に上流工程に近づけます。
運用保守の経験は、決して無駄になりません。むしろ、「運用を知っている設計者」という、他にはない強みになります。
「運用保守から上流なんて無理」と諦めず、一歩ずつ進んでみてください。道は、ちゃんとあります。
まとめ
運用保守から上流工程(設計・構築)に移る方法をまとめます。
運用保守の経験は武器になる
- 「運用しやすいシステムを設計できる」のは、運用保守出身者の強み
移行のステップ
- 今の現場で「構築寄りの仕事」を取りに行く
- 設計・構築のスキルを学ぶ(特にクラウド構築)
- 構築の「実績」を作る
- 社内異動 or 転職で上流に移る
焦らず、段階的に進めることが成功のコツです。運用保守の経験を活かして、上流工程への道を開いていきましょう。


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