運用保守の仕事をしていると、ベンダとの付き合いは避けて通れません。
ハードウェアメーカー、ソフトウェアベンダ、保守会社、クラウド事業者……。私が今管理している約50社のシステムでも、関わるベンダは数十社にのぼります。
19年間、ベンダとの付き合いを続けてきて気づいたことがあります。
ベンダとの関係は、やり方次第でシステムの安定稼働に直結する。
高圧的にやれば短期的には動かせるかもしれない。でも長い目で見ると、信頼関係のないベンダ対応は必ずどこかで綻びが出ます。
今回は、私がベンダとの付き合いで大切にしている5つのことを紹介します。
大切にしていること①:「自分がやられたら嫌なこと」を基準にする
ベンダコントロールの基本は、これに尽きると思っています。
「なんでこんなに時間がかかるんだ」「もっと早くやれないのか」——こういう高圧的な態度を取る担当者を、私もSES時代に何人も見てきました。
でも、考えてみてください。
自分がベンダ側の担当者だったとして、そういう態度を取られたらどう思うか。必要以上のことはやりたくなくなりますよね。緊急時に「この人のためなら頑張ろう」とは思えなくなる。
人間関係は、立場が変わっても同じです。
私は常に「自分がやられたら嫌なこと」を基準にしています。無理なスケジュールを押し付けない。詰めるような言い方をしない。感謝の言葉を忘れない。
当たり前のことに見えますが、これができていない担当者は意外と多いです。
大切にしていること②:依頼は「背景」とセットで伝える
「これをやってください」だけの依頼と、「こういう理由でこれが必要なので、やってください」という依頼では、ベンダの動き方が全然違います。
背景を共有することで、ベンダは「何のためにやるのか」が理解できます。すると、依頼通りにこなすだけでなく、「こういう方法の方がいいかもしれません」という提案が返ってくることもあります。
これが、ベンダを「作業をこなす相手」ではなく「一緒に問題を解決するパートナー」として扱うということです。
依頼のフォーマット(私が使っているもの)
- 背景:なぜこの依頼が必要なのか
- 目的:何を達成したいのか
- 期限:いつまでに必要か(理由も添える)
- 制約:予算・環境・影響範囲など
この4つを揃えるだけで、ベンダからの回答の質が上がります。
大切にしていること③:「急ぎ」を乱発しない
「急ぎでお願いします」という言葉、使いすぎていませんか?
急ぎを乱発すると、本当に急ぎのときに動いてもらえなくなります。「またいつもの急ぎか」と思われてしまう。
私が意識しているのは、「急ぎ」は本当に急ぎのときだけ使うということです。
通常の依頼は余裕を持ったスケジュールで出す。そうすることで、本当に緊急の障害対応が発生したときに「今回は本当に急ぎなので、優先してほしい」という言葉に重みが出ます。
ベンダ担当者も人間です。信頼関係があるからこそ、緊急時に「この人のためなら頑張ろう」と思ってもらえる。
大切にしていること④:問題が起きたとき、責めない
障害対応でベンダに原因があった場合、どう対応するか。
これが、その後の関係性を大きく左右します。
私が障害対応で最初に確認するのは、業務影響の規模と深刻度です。技術的な原因の追求は、業務影響を把握してからです。
そしてベンダへの対応では、責める前に状況を確認することを優先します。
「なんでこうなったんだ」ではなく「今の状況を教えてください。何が必要ですか?」という姿勢で臨む。問題の原因追求は、復旧してから落ち着いてやればいい。
障害の最中に責め立てても、復旧が早くなるわけではありません。むしろベンダが萎縮して、判断が遅くなるリスクがあります。
障害中は復旧最優先。原因追求は後から。
この原則を守るだけで、ベンダとの関係は大きく変わります。
大切にしていること⑤:良い仕事をしてもらったら、ちゃんと伝える
これが一番大切なことかもしれません。
「ありがとうございます、助かりました」という言葉を、ちゃんと伝えていますか?
当たり前のことに聞こえますが、日常的にできている人は意外と少ない。特にメールやチケットのやり取りだけで完結してしまうと、感謝が伝わりにくくなります。
私は、ベンダが頑張ってくれたとき・良い提案をしてくれたとき・緊急対応してくれたときは、必ず言葉で感謝を伝えるようにしています。
「先日の緊急対応、本当に助かりました。おかげで影響を最小限に抑えられました」
この一言が、次の緊急時に「この担当者のためなら」という気持ちにつながります。
まとめ
ベンダとの付き合いで大切にしている5つのことをまとめます。
- 「自分がやられたら嫌なこと」を基準にする → 高圧的にやらない
- 依頼は「背景」とセットで伝える → 作業相手ではなくパートナーとして扱う
- 「急ぎ」を乱発しない → 本当の緊急時に動いてもらえる関係を作る
- 問題が起きたとき、責めない → 障害中は復旧最優先、原因追求は後から
- 良い仕事をしてもらったら、ちゃんと伝える → 感謝が次の緊急時の信頼につながる
ベンダは「管理する相手」ではなく「一緒にシステムを守るパートナー」です。
その意識を持つだけで、日々のベンダとのやり取りが変わってきます。


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