40代になって、エンジニアとしての働き方が変わった話

こいきんぐの本音

40代になったとき、正直に言うと、少し怖かった。

エンジニアは若い人の仕事だ——そんな言葉を、どこかで信じていたんだと思います。

30代のころは、まだ「自分は若手側」という感覚がありました。でも40代に入って、気づけばチームで一番年上。周りは20代、30代のメンバーばかりです。

40代になった今、正直に思っていることを書きます。

結論から言うと、働き方は確実に変わりました。失ったものもあります。でも、得たもののほうが多かった。


正直に言うと、失ったものもある

きれいごとから書いても仕方がないので、先に「衰えた」と感じることから書きます。

1. 徹夜が、本当にきつい

これは、はっきり変わりました。

20代のころは、夜間作業のあとにそのまま日中も働けました。今は無理です。翌日どころか、2日は引きずります。

深夜の障害対応が入った翌朝、頭が回らない自分に愕然としたことがあります。

2. 新しい技術を覚えるのに、時間がかかる

若いころのように、ドキュメントを一気に読んで頭に叩き込む——そういう覚え方ができなくなりました。

クラウドの新機能を追いかけていても、以前より定着が遅い。「あれ、これ前も調べたな」ということが増えました。

3. 純粋な作業スピードは、若手に敵わない

手を動かす速さでは、若いメンバーのほうが速い。これは認めるしかありません。

チームの中で「一番手が速い人」ではなくなった。この事実を受け入れるのに、少し時間がかかりました。


でも、変わったのは「衰え」だけじゃなかった

ここからが本題です。

失ったものを数えているうちは苦しかった。でも、あるときから「別のものが増えている」ことに気づきました。

判断が、速くなった

若いころは、障害が起きるとまず焦っていました。何から手をつけるべきか、その判断に時間がかかった。

今は違います。

状況を聞いた瞬間に、「これはあのパターンだな」と当たりがつく。過去に見てきた障害の蓄積が、判断のスピードになっています。

手を動かす速さでは負ける。でも、どこに手をつけるかを決める速さでは、経験がそのまま効きます。

「やらないこと」を決められるようになった

20代のころは、頼まれたことを全部やろうとしていました。全部やることが誠実さだと思っていたからです。

でも今は、優先順位をつけて「これは今やらない」と決められます。

これは冷たくなったのではなく、限られた時間で成果を出すために必要な技術だと気づいたからです。

全部やろうとして全部が中途半端になるより、大事なものに集中したほうが、結果的にチームのためになる。

人の状態が、見えるようになった

これが一番大きい変化かもしれません。

メンバーの表情や、報告の仕方の変化から、「この人、今しんどいな」とわかるようになりました。

若いころは、自分のことで精一杯で、周りが見えていなかった。今は、自分の手が空いていなくても、人の状態には気づける。

これは技術力ではありません。でも、チームで仕事をするうえでは、技術力と同じくらい大事なことだと思っています。


40代で変えた、3つの働き方

衰えを自覚してから、意識的に変えたことがあります。

1. 体力勝負をやめた

夜間作業は、可能な限り自動化と事前準備でカバーする。当日の力技に頼らない。

若いころは「気合いで乗り切る」ができました。今はできない。だから、乗り切らなくていい設計にする方向に舵を切りました。

結果的に、これはチーム全体のためにもなりました。属人的な頑張りに依存しない体制は、誰にとっても健全です。

2. 覚えるより、調べ方を覚える

すべてを頭に入れるのを諦めました。

代わりに、「どこを見れば書いてあるか」「誰に聞けばわかるか」を整理しておく。AIも、この文脈で使っています。

記憶力は落ちた。でも、たどり着く速さは落ちていません。

3. 自分でやらず、任せる

以前は、自分でやったほうが速いと思って抱え込んでいました。

今は、多少時間がかかってもメンバーに任せます。任せることでしか、人は育たないからです。

正直、最初は歯がゆかった。でも、任せたメンバーが自分より上手くやるのを見たとき、これでいいんだと思えました。


40代は、終わりじゃなかった

「エンジニアは35歳定年」なんて言葉があります。

40代に入る前、私もそれを気にしていました。もう若手ではない。技術の最先端を追い続けられるわけでもない。じゃあ自分の価値は何なんだと。

でも、実際に40代になってみて思うのは、そもそも勝負している場所が変わったということです。

若いころの自分と同じ土俵で戦おうとすると、当然負けます。でも、40代には40代の土俵がある。

  • 経験からくる判断の速さ
  • 全体を見て優先順位をつける力
  • 人の状態を見て動ける力

これらは、若いころには絶対に持てなかったものです。時間をかけないと手に入らない。

つまり、40代の価値は「若いころにできたことができるか」ではなく、**「時間をかけたからこそできることがあるか」**で決まります。


まとめ

40代になって変わったことを、まとめます。

失ったもの

  • 徹夜がきつくなった
  • 新しい技術の習得に時間がかかる
  • 純粋な作業スピードは若手に敵わない

得たもの

  • 判断が速くなった
  • 「やらないこと」を決められるようになった
  • 人の状態が見えるようになった

変えた働き方

  • 体力勝負をやめ、自動化と事前準備でカバーする
  • 覚えるより、調べ方を覚える
  • 自分でやらず、任せる

40代になることは、正直に言えば怖かった。でも、なってみたら、それほど悪くありませんでした。

若さで勝負していたころとは違う戦い方がある。それに気づくまで、少し時間がかかっただけです。

もし今、年齢を理由に不安を感じている人がいたら——大丈夫だと思います。失うものはあるけれど、同じくらい増えるものもありますよ。

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