言わなければいけない。頭ではわかっている。
でも、言えなかった。
正直に告白します。私は、メンバーに厳しいことを言うのが苦手です。20名のチームを預かる立場になった今でも、そうです。
同じミスが続いている。報告が遅れている。約束した期日が守られていない。
指摘すべき場面で、私は何度も言葉を飲み込んできました。
今回は、そのことについて書きます。うまくいった話ではありません。今も答えが出ていない話です。
言えなかった場面
具体的に書きます。
あるメンバーが、作業ミスを繰り返していました。重大なものではありません。でも、確認すれば防げるミスでした。
一度目は「気をつけてね」で終わりました。
二度目のとき、言おうと思いました。でも、その日の彼は明らかに疲れていて、他の案件でも大変そうだった。
「今言うのは酷かな」
そう思って、言いませんでした。
三度目が起きたとき、今度は別の理由で言えませんでした。
一度目も二度目も言わなかったのに、三度目で急に言うのはおかしいんじゃないか。
こうして、言うタイミングを完全に逃しました。
なぜ言えなかったのか
あとから考えると、理由は3つありました。
①嫌われたくなかった
一番大きいのはこれだと思います。
チームの空気を悪くしたくない。関係がぎくしゃくするのが怖い。
「厳しいことを言う上司」だと思われたくなかった。
書いていて情けないですが、これが本音です。
②辞められるのが怖かった
人が減ると、残ったメンバーの負担が増えます。採用も簡単ではありません。
きついことを言って、それがきっかけで辞められたらどうしよう。
過去にメンバーに辞められた経験があるので、余計にそう思いました。
③自分も完璧ではないと思った
自分だってミスをする。過去に同じような失敗をしたこともある。
そんな自分が、人に厳しく言えるのか。
この気持ちが、いつもブレーキになりました。
言わなかった結果、どうなったか
状況は、良くなりませんでした。
当たり前ですが、指摘されなければ本人は問題だと認識しません。同じことが続きます。
そして、もっと悪いことが起きました。
周りのメンバーが、気づいていたんです。
「あの人、また同じミスしてますよね」 「リーダーは何も言わないんですか」
直接そう言われたわけではありません。でも、空気で伝わってきました。
言わないことで、私は一人を守ったつもりで、他の全員に不公平を強いていた。
これに気づいたとき、自分の判断が間違っていたと思いました。
「優しさ」と「甘さ」の違い
そこから考えたことがあります。
私は自分の行動を「優しさ」だと思っていました。相手の状況を考えて、言葉を選んで、傷つけないようにしている。
でも、違いました。
優しさは、相手のためにやること。 甘さは、自分が嫌な思いをしたくないからやること。
私がやっていたのは、後者でした。
言わないことで守っていたのは、メンバーではなく自分の居心地です。気まずい思いをしたくない、嫌われたくない、面倒な話をしたくない。
その結果、本人は成長する機会を失い、周りは不公平を感じていた。
これは優しさではありません。
少しずつ変えたこと
すぐに厳しく言えるようになったわけではありません。今も苦手です。
でも、いくつか変えたことがあります。
①その場で、軽く言う
溜めてから重く言うのではなく、気づいたときに軽く言うようにしました。
「あ、そこ確認漏れてるね」
これくらいなら、言えます。そして、これを積み重ねるほうが、後でまとめて言うより効きます。
言いにくくなるのは、溜めるからです。
②行動について話す。人格には触れない
「なんで確認しないの」ではなく、「確認の手順、どこで抜けたか一緒に見てみようか」。
責めるのではなく、事実と手順の話にする。
これなら、感情的にならずに済みます。相手も受け取りやすい。
③伝えたあと、フォローする
言いっぱなしにしないようにしました。
翌日に「昨日の件、大丈夫だった?」と一言かける。それだけで、関係がこじれにくくなります。
厳しいことを言った後こそ、普段通りに接する。 これが意外と重要でした。
それでも、まだできていないこと
正直に書きます。今でも、言えていないことがあります。
たとえば、能力そのものに関わる話。「この作業は、あなたには任せられない」というような判断。
これを本人に伝えるべき場面が、これまでにもありました。でも、言えていません。
どう伝えれば、相手を潰さずに済むのかがわからない。
正解を持っていないから、書けることも限られます。この点については、まだ模索している最中です。
同じことで悩んでいる人へ
もし今、メンバーに言えないことで悩んでいる人がいたら。
言えないこと自体は、悪いことではないと思います。
相手を思いやる気持ちがあるからこそ、言葉に詰まる。それは資質としてマイナスではありません。
ただ、一つだけ確認してほしいことがあります。
言わない理由は、相手のためですか。それとも自分のためですか。
ここを正直に問い直すと、判断が変わることがあります。私はそれで、自分が甘えていたことに気づきました。
そして、もう一つ。
溜めないでください。 溜めるほど言いにくくなり、言うときの重さが増します。軽いうちに、軽く言う。それだけで、かなり違います。
まとめ
メンバーに厳しく言えなかった話をまとめます。
言えなかった理由
- 嫌われたくなかった
- 辞められるのが怖かった
- 自分も完璧ではないと思った
言わなかった結果
- 状況は良くならなかった
- 周りのメンバーが不公平を感じていた
- 一人を守ったつもりで、全員に負担をかけていた
優しさと甘さの違い
- 優しさは、相手のためにやること
- 甘さは、自分が嫌な思いをしたくないからやること
少しずつ変えたこと
- その場で、軽く言う
- 行動について話す。人格には触れない
- 伝えたあと、フォローする
厳しいことを言うのは、今でも苦手です。得意になる日は来ないかもしれません。
でも、言わないことが優しさではないとわかっただけでも、少し前に進めた気がしています。
同じことで悩んでいる人がいたら、一人ではありませんよ。


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