正直に告白します。
私は長い間、エンジニアとして「尖ってない」自分に、劣等感を感じていました。
すごい技術力を持っているわけでもない。特定の分野の第一人者でもない。「この技術ならあの人」と名前が挙がるような、突出したスキルもない。
まわりには、キラキラした「尖ったエンジニア」がいる。それに比べて、自分は器用貧乏で、平凡で——。そんなふうに、自分を卑下していた時期がありました。
今回は、その劣等感と、どう折り合いをつけてきたかを正直に書きます。同じように感じている人に、何か届けばと思います。
「尖ったエンジニア」への憧れと劣等感
エンジニアの世界には、「尖った人」がたくさんいます。
- 特定の言語やフレームワークを極めた人
- 難しい技術問題を鮮やかに解決する人
- 勉強会やSNSで発信して、注目を集める人
- 「あの技術ならこの人」と名前が挙がる人
私は、そういう人たちに憧れると同時に、劣等感を感じていました。
自分には、そこまで突出した専門性がない。運用保守を幅広くやってきたけれど、「これが自分の武器だ」と言い切れるような、尖ったスキルがない。
「自分は、エンジニアとして中途半端なんじゃないか」——そう思っていました。
「広く浅く」に、価値を感じられなかった
私のキャリアは、「広く浅く」でした。
サーバー、ネットワーク、セキュリティ、クラウド、そしてマネジメント。いろいろな領域を、幅広く扱ってきました。
でも当時の私は、この「広く浅く」に、価値を感じられませんでした。
「一つの分野を深く極めた人」に比べて、「いろいろ手を出しているけど、どれも中途半端」——そう自分を評価していたんです。
「専門性がない」ことが、コンプレックスでした。
考え方が変わったきっかけ
考え方が変わったのは、リーダーになって、チーム全体を見るようになってからです。
あるとき、気づいたんです。
「広く浅く」は、実は「つなぐ力」になる。
チームには、尖った専門家がいます。ネットワークに強い人、セキュリティに詳しい人、クラウドを極めた人。
でも、彼らは自分の専門分野には強くても、「全体を見て、つなぐ」ことは苦手だったりします。
私の「広く浅く」は、その専門家たちをつなぎ、全体をまとめる力になっていました。
- 各分野の話が、ある程度わかる
- 専門家同士の橋渡しができる
- 全体を俯瞰して、判断できる
これは、一つの分野を極めただけでは、できないことでした。
「尖ってない」ことの、本当の価値
そこから、私は「尖ってない」ことの価値に気づいていきました。
価値①:全体を見渡せる
幅広い知識があると、システム全体を俯瞰できます。「この障害は、ネットワークとアプリのどちらが原因か」を切り分けられる。特定分野だけの専門家には、これが難しいことがあります。
価値②:人と人をつなげる
各分野の専門家、顧客、ベンダ——立場も専門も違う人たちの間に立って、話をつなぐ。この「翻訳者」「調整役」の力は、幅広い知識があってこそ発揮できます。
価値③:マネジメントに向いている
チームをまとめるリーダーには、「広く浅く」の知識が向いています。各メンバーの仕事を理解し、適切に配置し、全体を回す。これは、尖った専門性とは別の、貴重な能力です。
「尖ってない」ことは、欠点ではなく、別の種類の強みだったんです。
「尖る」だけが正解じゃない
エンジニアのキャリアには、いくつかの方向性があります。
- スペシャリスト型:一つの分野を深く極める
- ジェネラリスト型:幅広い知識で全体をつなぐ
- マネジメント型:チームを率いる
世の中では「スペシャリスト=かっこいい」というイメージが強い。でも、ジェネラリストにもマネジメントにも、それぞれの価値があります。
大切なのは、自分の適性に合った方向を選ぶことです。
私は、「尖る」ことに憧れて無理をするより、「広く浅く」を活かしてつなぐ・まとめる方向に進んだことで、自分の強みを発揮できるようになりました。
劣等感は、視点を変えれば強みになる
今、エンジニアとして「尖ってない」ことに劣等感を感じている人がいたら、伝えたいことがあります。
「尖ってない」ことは、視点を変えれば強みになります。
- 広い知識 → 全体を見渡せる、つなげる
- 特定分野に偏らない → バランスよく判断できる
- いろいろできる → 柔軟に対応できる
「専門性がない」とネガティブに捉えるか、「幅広く対応できる」とポジティブに捉えるか。同じ事実でも、視点次第で意味が変わります。
もちろん、尖ることを目指すのも一つの道です。でも、「尖れない自分」を責める必要はありません。あなたの「広さ」は、必ずどこかで活きます。
まとめ
エンジニアとして「尖ってない」ことに劣等感を感じていた話をしました。
- 「尖ったエンジニア」に憧れ、劣等感を感じていた
- 「広く浅く」に価値を感じられなかった
- でも、リーダーになって「つなぐ力」の価値に気づいた
- 「尖ってない」ことは、全体を見渡す・人をつなぐ・まとめる強みになる
- 尖るだけが正解じゃない。自分の適性に合った道を選べばいい
エンジニアのキャリアに、唯一の正解はありません。
「尖る」道もあれば、「広くつなぐ」道もある。「まとめる」道もある。
自分の強みを活かせる道を見つけることが、一番大切だと、今は思っています。
「尖ってない」ことに悩んでいる人が、少しでも前を向けたら嬉しいです。


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